東京の伝統行事

世田谷ボロ市世田谷区の世田谷代官屋敷の一帯では、12月と1月の15~16日にボロ市が立ち、風物詩として定着している。

12月の行事
東京23区の歳時記
12月の行事
紅葉と歳の市
1月の行事
東京23区の歳時記
1月の行事
正月行事が主

世田谷ボロ市

世田谷区の東急世田谷線上町駅近く、世田谷代官屋敷の一帯では、毎年12月と1月の15~16日(曜日に関わらず日程固定)に、16世紀に起源を有する歳の市(正月用品等を商う、年末に立つ市)が立ち、多くの露店と人出があり、東京都指定無形民俗文化財となっている。この歳の市は正式には市町(いちまち)と言い、昭和に入ると歳の市とも呼ばれるようになり、ボロ市と公称するようになったのは第二次世界大戦後である。世田谷ボロ市の歴史については後述
なお、このボロ市では、5年毎の12月15日と1月15日に、江戸時代の代官の見廻り行列を模した行列も行われる(後述)。

世田谷代官屋敷
スポットガイド
世田谷代官屋敷 | 東京都世田谷区
重要文化財の代官邸
 
世田谷ボロ市
 
世田谷ボロ市

露店は世田谷代官屋敷などがある通り沿いをメインに700~800軒ほど出店し、平日の午前中ですでにこの混雑ぶりである。ボロ市の名物は代官餅(昭和50年より)であるが、購入するためには大行列に並ばなければならない。

上町天祖神社
世田谷ボロ市

通りに面した上町天祖神社の境内にも植木屋などが出店。

市町代官見廻り行列

江戸時代、この市は代官の大場家が管理しており、一帯を領有していた彦根藩は関与していなかった。代官は市が立っている間に一度、火の元警備と監督のため見廻りの行列を行っていた。この行列には幕末からは鉄砲を抱えた農兵も参加した。この見廻り行列を模した代官行列(市町代官見廻り行列)が昭和43年に初めて行われ、現在では5年に一度、行われている。

マーチングバンド
世田谷ボロ市

世田谷代官屋敷前での式典の後、代官屋敷から行列が出発。まずは地元の小中学校のマーチングバンド。次に代官行列が続く。

旗持ち、鉄棒人足、高張提灯人足
世田谷ボロ市
砲術稽古人
世田谷ボロ市
鳶口人足
世田谷ボロ市
代官
世田谷ボロ市
捕物人足、棒人足
世田谷ボロ市
砲術稽古人
世田谷ボロ市

この後、さらに名主・年寄などが続く。

世田谷ボロ市の歴史

戦国時代、当地は吉良氏が豪徳寺や世田谷城阯公園一帯にあった世田谷城を居城とし、その城下町は元宿(現在の世田谷区役所周辺)にあった。当時、吉良氏は後北条氏の支配下にあったため、後北条氏の本城の小田原城と江戸城を結ぶ矢倉沢往還(大山道)が整備された。その街道筋に北条氏政は宿場町を整備し(新宿)、その振興のために天正6年(1578年)、毎月一の日と六の日に6回開く六斎市を開始した。これは市場税を廃し自由な商業を認める楽市であった。
その後、後北条氏は豊臣秀吉に滅ぼされ、徳川家康が江戸に幕府を開くと、世田谷城は廃城となり、東海道が整備され、農商分離政策(商人を農村から城下町に移住)が実施されたため、世田谷の宿場は衰退する。六斎市もいつしか12月15日のみに開かれる歳の市(正式には市町(いちまち))となるが、農具、正月用品、日用品などを商い大いに繁盛する。
近代に入ると明治6年に新暦が採用され、それにあわせて歳の市も新暦の12月15日に催されたものの、農村部では正月も旧暦で祝われていたため、明治7年よりは旧暦の正月にあわせた正月15日にも実質的な歳の市が開かれるようになる。そして明治20~30年代には12月・1月とも15と16日の両日開催が定着した。
また明治20年代からは東京市内から集めた古着・ボロの商いの比重が大きくなる。古着は普段着に、ボロは服の繕いや草鞋・草履の補強に使われた。草鞋・草履の製作は当時の農民の内職であった。また江戸時代にはなかった見世物なども出るようになる。
やがて繊維工業が発達して衣類が比較的安価に手に入るようになり、また地下足袋が発明され農作業にも使用されるようになると古着やボロの商いも下火となる。代わって明治末~大正期にはムシロの需要が増える。世田谷や練馬など大根の産地では、タクワンに加工した方が高く売れるため、タクワンの生産がさかんになったが、大根を干すのにムシロが大量に必要となったからで、ムシロは横浜方面で生産された。
しかし宅地化の進展と農地の減少、食品加工工業の発達でタクワンの生産が減るとムシロの需要も急減した。一方で、明治後期以降の鉄道網の発達によって、新住民が流入してくると、その宅地の生垣・庭木を商う植木市の要素が加わる。さらに新しい洋品や雑貨も増える一方で、ボロなどは消え、特色は失われていった。

世田谷ボロ市
東京都世田谷区世田谷一丁目 地図
アクセス:東急世田谷線 上町駅より徒歩数分
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