西澄寺
西澄寺は、世田谷区の、東急田園都市線の三軒茶屋駅より南東へ徒歩12分の地に位置する、真言宗智山派の寺院。
平安時代、諸国巡錫中の弘法大師空海が、当地で発見した薬師如来像を地中に埋めて薬師堂を創建したと伝える。室町時代の天文2年(1533年)に薬師堂が再建されて当寺が開山し、江戸時代に中興した。
山門は東京都の文化財に指定されている大名屋敷門であり、書院も西園寺邸または東郷邸に由来すると伝える。
東京都指定有形文化財の山門は、港区三田の現・豪州大使館の地にあった旧徳島藩主蜂須賀侯爵邸の表門を昭和3年に移築したもので、江戸末期の築と推定される。
『東京都指定有形文化財(建造物)武家屋敷門保存修理工事報告書』によると、蜂須賀侯爵邸の敷地は江戸末期から明治初期は佐土原藩主島津家の屋敷であり、したがってこの山門は元は島津家の門であったとも推定している。
また『世田谷区社寺史料 建築編』によると、門の棟札には、徳川家光の代に仙台藩主伊達家江戸屋敷門として築造され蜂須賀邸には明治22年に移築された、とあるが疑問もあるという。
本堂は明治時代の築。
庫裏は明治時代の築。
『世田谷区社寺史料 建築編』によると、書院は港区麻布にあった西園寺邸の書院(東郷邸のものとも)と伝える。また『下馬史』は、本堂と庫裏の間にある茶室は木戸公爵に由来するとの伝聞を載せるが、茶室は見当たらないのでこの書院のことを指しているのかもしれない。
このRC造の納骨堂はデザイン的に戦前のものか終戦後の早い時期のもの。
薬師堂は江戸中期の1765年築。このほか、明治期築の鐘楼もある。
西澄寺の近くには世田谷観音寺がある。