雑司ヶ谷鬼子母神
雑司ヶ谷鬼子母神堂は、東京都豊島区の、東京メトロ副都心線の雑司が谷駅または都電荒川線の鬼子母神前停車場より徒歩5分の位置にある仏堂。
室町時代の永禄4年（1561年）に文京区目白台の現・清土鬼子母神で出土した鬼子母神像を祀った堂で、天正6年（1578年）に創建。
現在の鬼子母神堂は大型の権現造の神社建築で、国の重要文化財に指定されている。
鬼子母神堂は、近くにある日蓮宗法明寺（後述）の境外仏堂であり、明治維新時の神仏分離を免れた一例。江戸時代は、表参道に鳥居が立つ、雑司が谷村の総鎮守であったが、祭神が鬼子母神であったため、神仏分離の際に仏堂と判断された。
表参道のケヤキ並木は天正年間（1573-1591年）に植えられたものと伝え、東京都指定天然記念物。ただし古木は4本残るのみ。
明治維新の神仏分離で撤去されるまでは、表参道には鳥居があった。
境内入口には江戸時代に建立された一対の仁王の石像が立つ。
大イチョウは、応永年間（1394-1428年）に植えられたものと伝える。東京都指定天然記念物。その背後にあるのは法不動堂と地主神の武芳稲荷堂。
鬼子母神堂は拝殿・相ノ間・本殿を連結した権現造の大型神社建築。国指定重要文化財。拝殿と相ノ間は江戸中期の1700年建立。
拝殿正面には鬼子母神の象徴であるザクロを記した絵馬が掲げられている。
重文の社殿を構成する本殿は黒漆塗・流造で、江戸前期の1664年建立。
本殿内に安置されている宮殿は社殿の重文指定に附指定されている（非公開）。
本殿背後の妙見堂は1788年建立で重文に附指定されている。
脇には陶製の七曜紋（北斗七星紋）の絵馬がかかる。妙見菩薩は北斗七星や北極星を神格化した菩薩。
年中行事
夏市
7月に行われる夏市では露店が出る。この行事に関する詳細は「雑司ヶ谷鬼子母神堂 夏市」の記事を参照。
鬼子母神御会式大祭
雑司ヶ谷鬼子母神堂の主な祭礼としては、10月16日～18日に開催されるお会式（御会式大祭）がある。御会式は日蓮宗で広く行われている、宗祖日蓮の忌日の法会で、この鬼子母神堂の御会式はかなり大規模な祭礼。特に18日のハイライトでは、万灯行列が池袋駅から鬼子母神の境内まで練り歩き、境内には露店が多く出る。この行事に関する詳細は「雑司ヶ谷鬼子母神堂 御会式大祭」の記事を参照。
明治維新時の神仏分離では、境内にあった十羅刹女を祀る鷺明神が、現・大鳥神社（豊島区雑司が谷3-20-14）として分離・独立した。
法明寺
法明寺は日蓮宗の寺院で、雑司ヶ谷鬼子母神堂の別当寺。山号は威光山。
平安時代の弘仁元年（810年）に真言宗の威光寺として創建され、鎌倉時代の正和元年（1312年）に日蓮宗に改宗し法明寺と号した。
法明寺の諸堂は第二次大戦で全焼したため、戦後に再建されたもの。
また、鎮守の威光稲荷堂は、法明寺の境内からではなく、北側に回ると参道がある。
鬼子母神堂から法明寺へと続く表参道は、桜並木となっている。参道の両脇には子院が並ぶ。
山門と並ぶ祖師堂（安国堂）には、宗祖日蓮を祀る。
山門は戦後の昭和43年再建。
本堂は戦後の昭和34年再建。
寺務所（客殿・庫裏）は戦後の昭和37年再建。
法明寺の鎮守である威光稲荷堂は、法明寺の境内と繋がってはいるものの、一般参拝者はいったん境外に出て北西に回り込んで参拝する。